民法改正のポイントとその影響は?

皆さん、こんにちは。
先週、お友達の淀屋橋司法書士事務所の代表司法書士、福田麻紀子さんの第1回生前対策勉強会に参加してきました。

福田さんは、家族信託や遺言による「円滑な資産承継」というハード面も、任意後見・死後事務委任・エンディングノートによる「私らしい人生」というソフト面も、両方叶えるハイブリッド型″人生の事前対応”司法書士・民事信託士・家族信託専門士・終活カウンセラーです。

見た目はほわんとしてますが、(笑)大阪司法書士会の家族法研究会の座長の経験もあり、司法書士会会長表彰なども受けてる切れ者なのであります。集まっていた方も弁護士・税理士などの士業の方、不動産会社の方、コンサルティング会社の方など、様々なプロフェッショナルな方が来られていました。どれだけ真面目に仕事や人に接してお仕事をしてこられたかがわかります。

今回の民法改正では、段階的に施行の日が決まっていますので、既に施行されている部分もありますね。
では、皆さんにシェアしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

1.今回の民法改正の背景

①超高齢社会での配偶者保護

高齢のご夫婦が、自宅で住んでいた場合、それまで住んでいた自宅にそのまま住んでいたいと思うのは自然の流れだと思います。
従来の民法ですと、相続開始後は、その居住権は当然には認められませんでした。そこで、今回相続人である配偶者に遺産分割が居住するまでの短期的な居住権を認めました。

②所有者不明土地問題

2017年10月26日日本経済新聞夕刊によると、増田寛也元総務相率いる所有者不明土地問題研究会の報告では、2040年には所有者不明の土地による損失が6兆円に上るそうです。

2016年の所有者不明土地が410万ヘクタールあり、24年後の2040年には約720マンヘクタールになるという試算とのこと。
九州全体での総面積が約367万ヘクタールですから、その2倍くらいの面積になるということです。それによる経済損失は2016年は約1800億円、2017年~2040年の損失額は少なくとも累計で6兆円にも及ぶそうです。

相続が発生して、だれが継いだか分からない土地がこれだけあるということは、国もかなり問題視しているようで、相続登記を放置することにより所有者不明土地がますます増えることになるので、相続登記を推進させようという狙いがあるようです。

2.民法改正のポイント

  • 配偶者居住権(2020年4月1日から施行)
  • 婚姻期間20年以上の夫婦が、配偶者に居住用の建物・敷地を遺贈又は贈与したときに特別受益の持戻し免除の意思が推定される(2019年7月1日から施行)
  • 預貯金の仮払い制度の創設(2019年7月1日から施行)
  • 自筆証書遺言の方式の緩和(2019年1月13日から施行)
  • 自筆証書遺言の保管制度(2020年7月10日から施行)
  • 遺言執行者の権限の明確化(2019年7月1日から施行)
  • 遺留分減殺請求が金銭請求権のみとなる(2019年7月1日から施行)
  • 相続の効力等に関する見直し(2019年7月1日から施行)
  • 特別寄与料の請求(2019年7月1日から施行)

3.自筆証書遺言の方式の緩和

それでは、今回は既に施行された自筆証書遺言の方式の緩和について説明します。

遺言には厳密には6つの種類があり、その中で、主に使われるのが『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』です。
そのうち、自筆証書遺言についての改正です。
従来は、全文が自筆で書かなければいけませんでした。遺産目録なども自筆でした。

それが、遺言事項と財産目録に分け、財産目録については、他人に代筆してもらうことや、パソコン等を利用して印字する方法、不動産の登記事項証明書や預金通帳の写し等を添付して、それを財産目録とすることも可能になりました。
※財産目録の各ページには本人による署名捺印が必要となります。

4.まとめ

今回の改正で、手続きの仕方が多少変更されるということはもちろんなのですが、遺された配偶者が不自由ないようにするためにはどうしたらよいかという点が考慮されています。

また、所有者不明の土地が増えて、未利用の土地が増加するということは、不動産を使えないということですから、経済損失も半端ないものとなります。スムーズに資産を承継していくことの大切さがご理解いただけたのではないかと思います。

そして、相続発生時に慌てないために、専門家とチームを組んで(←ココ大事です!)早めに対応していく必要があります。
いろいろなポイントがありますので、アンテナを常に張る必要がありますね。

今日もお読みいただきありがとうございました!