新築住宅市場の動向
新設住宅着工数の推移
おはようございます。
前回までで人口の減少と世帯構成の変化についてお伝えしました。
皆さんが置かれている環境が理解できたのではないでしょうか。
今回は、そのような環境の中で、新築アパートやマンションがどのくらい建築されているのか?
をお伝えしようと思います。
先ずは、新設住宅着工数の推移についてです。
国土交通省建築着工統計によるグラフです。
建築着工統計調査というのは、全国の建築物の動態を明らかにし、建築及び住宅に関する基礎資料を得ることを目的とした調査です。
私が高校3年生だった頃(平成元年あたり)はちょうどバブルの真っただ中でした。
そのころの新設住宅着工数は170万戸程でした。
その後バブルが弾けましたが、国の景気対策が行われ、住宅ローンの促進策『ゆとりローン』なんてのもありました。
これにより160万戸まで戻しました。
そして、平成20年あたりにリーマンショックが起こり、80万戸を割り込むことになりました。
現在では、100万戸の手前をうろちょろしているといったところです。
2007年~2014年のデータは以下のような状態です。
国土交通省建築着工統計より作成されています。
この表で紫の色が貸家です。
賃貸用住宅の空き家が多いのも納得されるのではないでしょうか。
背景としては、相続税の増税によろ節税需要や銀行の貸し出し先として賃貸経営が堅いと判断したことがあり、融資を積極的に受けてこのような供給になったというところです。
では、この後新設着工戸数はどうなっていくでしょう?
日本の住宅施策としては、ストック(中古建物)の積極的利用を促していますので、良質な空き家が増加していく可能性が高いです。
また、外国の住宅と比べて、日本の住宅は寿命が短かったのですが、長くなっていくのではないか?という見方もあり、新設着工件数は減少していくのではないかと思われいます。
今後10年間で、10万戸~20万戸ほど減少するとみられていますので、70万戸~80万戸程度の着工件数に落ち着くのではないかと考えています。
空き家の動向
空き家が年々増え続けていることは皆さんご存知の通りです。
総務省の住宅・土地統計調査によれば、平成25年(2013年)の空き家は全国で820万戸あり、その内、賃貸用は429万戸もある。空き家の増加が空室を生み出しているということは、以下の資料を見ると一目瞭然です。
空き家の増加に応じて空室が増加しています。
これだけの空き家を出しながら、まだ新築を建てるのか?
という疑問は残るところですが、なかなか国が先頭に立って何かをするというのは、構造上難しいのかな?と思っています。
地域的には、高齢化が進む地区は空き家率が高く(鹿児島17.0%、高知17.8%)明らかに比例関係があります。
今後の超高齢化を考えると、おおよその地区は空室対策に苦しむことになりますね。
今後、空き家率は30%に限りなく近づいていくものと考えられます。
そうすると、4分の1以上が空室の社会になってしまい、防犯の面でも心配になりますよね。
犯罪を誘発することにもなりかねません。
他にも、防災性の低下が懸念されています。倒壊・崩落・屋根・外壁の落下・火災発生の恐れが考えられます。
ごみの不法投棄、衛生の悪化・悪臭の発生(蚊・ハエ・ネズミ・野良猫)・風景・景観の悪化・枝の越境・雑草の繁茂・落ち葉の飛散などなど、言いだしたらきりがありませんね。
さて、賃貸住宅の空室に話を戻します。
賃貸用住宅で429万戸も空室が発生し、毎年10万戸いかないまでもそれに近い数の部屋が建築され、まさに『いす取りゲーム』の様相を呈してきますね。
これでは、賃貸住宅の経営なんてムリ!!なんて思っておられませんか?
この答えに対して、私はいつもこう答えています。
『確かに厳しいです。でも、やりようはありますよ。』
どういうことかと言うと、確かに物件は飽和状態なんです。
でも、今後は『勝てる家主さん』『負ける家主さん』がはっきりわかれてきます。
今まで、何となく経営出来ていた家主さんは何割かは路頭に迷うでしょうね。
きっと。その中で私たちがお役に立てるという確信のもとで事業を立ち上げました。
不動産を事業と捉えて必死に努力してきた家主さんも数多くいらっしゃいますが、それはごくごくわずかです。
そこをしっかりサポートできるだけの知識と経験を兼ね備えた業者もごくごくわずかです。
私はそこに家主さんの勝機を見出しているのです。