築15年を超えたアパート・マンションを所有している家主さんの課題とは?
皆さん、おはようございます。
ミライアンス小埜です。
私は、築15年を超えたアパートやマンションをお持ちの家主さんを中心に賃貸管理やコンサルティングを行っています。
別に、築浅の物件がイヤというわけではありません。
しかし、これには深いわけがあるのです。
築15年を超えた物件は、色々な課題が発生してくるのがわかっているからです。
以下の課題が発生することになりますので、対策を取られていない方は、早めにご相談下さいね。
A キャッシュフロー上の課題
一般的に、築15年を超えた賃貸物件は、キャッシュフロー上の大きな課題を抱えることになります。
『あれ、会計では利益が出ているのにお金が残らない‼』
こんなことはありませんか?
その原因の1つは、建築設備の耐用年数が一般的に15年だからです。
築15年を超えると、経費算入が出来る設備の減価償却費がなくなり、会計上の利益が増えます。
それに伴って所得税や住民税などが増加して、毎年のキャッシュフローが減少してしまいます。
また、借入金返済額のうち、経費算入できる金利が減少し、会計上の利益が増えます。
そうすると、同様に所得税や住民税などが増加し、毎年のキャッシュフローが減少します。
また、建物の修繕維持費や改修費が増加も同時に起こるので、キャッシュフローの減少を招くことになります。
そして、賃貸物件としても競争力が低下してきますから、家賃が下がる、空室が増えるなど収益がダブルで減少することになるので、キャッシュフローを圧迫することになります。
もちろん、空室後の募集期間も長くなりますからトリプルパンチですね。
そして、皆さんがお持ちの不動産の減価償却費を借入金の原本返済額が上回ることをデッドクロスと呼びますが、これも築15年を超えると発生することが多いです。
上記の理由が相互に作用してきますので、急に苦しくなるのがこの時期なのです。
B 市場競争力の低下
次に、物件の市場競争力が低下することが課題となります。
大体新築から2サイクル、3サイクル経過してくると、市場環境は変化しています。
京田辺市の同志社大学のキャンパス移動が良い例なのですが、キャンパスの移動に伴って一挙に厳しい状況に追い込まれることがあります。
また、工場の閉鎖なども良い例ですね。
入居者の属性を見て、可能性があると予測しておかないとえらい目にあうということです。
中には、リスクなんてのは、お金を持っていない、消極的な考え方を持っている人の計算することだなんて言う人もいますが、そういう人は賃貸経営なんかやったらダメだと思います。
何故なら、プロが客観的に見たら、ある程度のリスクは予見でき、それを織り込んだ上で経営をすれば、おおよそ外れることはないことが、この賃貸業の魅力ではないでしょうか。
リスクを見ない賃貸経営は投機=ギャンブルですよね。
そんな方は株や先物取引などをしていただければよいと思います。
どれだけの方が予測しなかったことによって倒産されているか。
人生を棒に振っているか。
ぞっとします。
また、マーケットのニーズも変化してきます。
建築当初は3点ユニットバスが当たり前だったものが、セパレート(お風呂とトイレが分離しているもの)に変化し、それから更に独立洗面台があって洗い場があるものに人気が移っていったのは良い例だと思います。
それから、建物や設備が老朽化・陳腐化してくることも挙げられます。
陳腐化とは、まだ使えるけど、人気がなくなっている状態のことです。
外装も直さないといけない、改修費用は増えていく、エアコンやキッチンなどの設備も直さないといけないなんてことで、今まで順調に来ていた経営に暗雲が立ち込めるのもこのころです。
そして、単純に部屋が決まらなくなります。
一度退去したら、空室期間も長くなり、空室率も増加します。
賃料も下落してきます。ここで仲介業者さんや管理業者さんのせいにしても何も始まらないのです。
C 相続対策上の課題
アパートやマンションを建設される際のきっかけとして圧倒的に多いのは相続対策ですね。
しかし、築15年を過ぎるとこのような問題が出てきます。
まず、節税の問題です。借入金の返済が進むと、当然ですが、元金を返済していきますから、資本が増えてきます。
そうすると、マイナスの財産が減少するので、相続税の節税効果が減少します。
そして、建物を建てた当初の状態から、相続税の対象となる財産の状況も、家主さんのご家族の状況も変化していますので、新しく相続対策の検討が必要になります。
合わせて分割や納税の問題が出てきますので、資産の組換えや生前贈与等の対策が必要になってきます。
以上の課題がでたらどこから手を付ければよいでしょうか。
基本的には市場競争力の解決をしないと、会計上の課題や相続対策上の解決が先に進みませんので、市場競争力の低下に対応するためにリノベーションをする・建替えをする・資産の組換えをするなどの何らかの手を打つことになります。
これらの方法を比較検討しながら、賃貸経営を検討することが大切となりますね。